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平和発展の道を堅持する
2011/03/11

戴秉国

中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議で可決された『国民経済・社会発展の12次五カ年計画策定に関する中国共産党中央委員会の建議』では、向こう5年わが国が発展するための壮大な青写真が描かれている。対外的取り組みについて、平和、発展、協力の旗印を高く掲げ、独立自主の平和外交政策を施行し、平和発展の道を歩み、互恵共益の開放戦略を堅持し、わが国の主権・安全・発展の利益を擁護し、世界各国と共に恒久平和と共同繁栄の和諧世界を構築すべく推進していく旨を重ねて指摘している。これは現代の中国が対外的に掲げるべき旗印、歩むべき道、目指すべき目標及びその目標をどう実現するかについて掘り下げて述べたものであり、新しい情勢下での外交活動を展開する上で重要な現実的意義と深遠な歴史的意義を持つものである。

一、中国はなぜ平和発展の道を提唱するのか

平和発展の道を歩むことは、決して一人合点でも頭でっかちの思いつきでもなく、昨今の世界に起こった大きな変化、今日の中国の大きな変化、それといま中国と世界との関係の大きな変化をしっかり看取したため、その流れに従って事を運びその時を見極めて調整しつつ、世界の発展の流れにも呼応し自国の国情にも当てはまる道を探り当てる必要から出たものである。

今や世界は広範囲で深層的変化を遂げている。経済のグローバル化や情報化が進み、科学技術が急速な発展を遂げたおかげで、世界はますます小さくなり、「地球村」さながらである。各国の相互連携、相互依存と利益融合はこれまでにないレベルに達して共通利益がどんどん拡大し、連携して立ち向かうべき問題は頓に増え、互恵協力への願いもいよいよ強まって、ある意味ではすでに一種の「利益共同体」となっているのだ。どの国も仮令最強の国といえども、一人勝ちとか、一国の無理強いとかは不可能になり、如何なる国の出方も自国だけでなく、他国にも重要な影響を与えてしまう。エゴイスティックな、又は武力で他国を征服し威嚇したり、非平和的方法で自らの成長の場や資源を求めたりするやりかたはもはや通用しなくなっている。イデオロギーで線引きするとか、あれこれ理屈をこねて徒党を組むとか、一者もしくは数者で世界の実務を牛耳ろうとする考えは人心を得なくなっている。日増しに増える各種リスクとチャレンジを前にして、平和を求め発展をはかり協力を進めることが阻むことのできない時代の流れとなっている。「同舟共斥(きょうせき)(同じ舟の者同士が排斥しあう)」ではなく、「同舟共済(同じ舟の者同士が助けあう)」、「同舟共闘(同じ舟の者同士が喧嘩する)」ではなく、「同舟共渡(同じ舟の者同士が共に渡る)」であって初めて各国に問題解決の道が開けるのだ。

いまの中国には、広範囲でドラスティックな変化がおとずれている。三十余年にわたる改革開放を経て、私たちが「階級闘争をかなめとする」ところから、経済建設中心の社会主義近代化事業の全面的推進へ、計画経済だったことから各方面の改革推進を図る社会主義市場経済体制構築へ、内向きの偏った自力更生の一点張りから対外開放の実行、国際協力の発展へ、イデオロギーによる線引きから多様な社会制度や発展モデルの協調・共生の主張と、対外関係の全方位展開へと変貌する、その変わりようは天地をひっくり返すものと言ってもよい。そのため、自国の基本的実情を踏まえて、発展段階の現時点での特徴をしっかりと把握し、改革開放を一段と深化させ、経済成長方式の転換を速めることに迫られている。

いま中国と世界の関係にも歴史的な変化が起きている。改革開放の不断の進行と社会経済の絶え間ない発展に伴って、中国は日を追って国際社会へと溶け込み、世界との連携がますます緊密になり、中国の前途・運命は世界のそれと一つになりつつある。世界なしに中国の発展はありえず、中国抜きに世界の繁栄・安定もあり得ない。われわれが外部との関係をうまく処理できなければ、21世紀初頭の20年に国際情勢全体としての平和環境や大国関係の相対的安定や新技術革命急成長のもたらすチャンスを失いかねない。

二、平和発展の道とは

平和発展の道を歩むことは、胡錦涛同志を総書記とする中央指導部が時代のトレンドと中国の実情を見極め、国内と国際という両方の大局を横断的に捉え、他の大国の歩みからの経験・教訓を勘案した上で打ち出した斬新な発展の道であり、わが国の発展戦略における重要な決断であり、対外戦略の重大な意思表示でもある。

私はこの道の特徴を五点に総括する。その一は、発展が平和であることを強調する点。中国は西側列強がやった侵略・略奪・戦争・拡張の真似をするどころか、自らの力で世界の平和に寄与し、発展と平和をうまく統一させるようにする。その二、発展の自主性を強調する点。独立自主は中国外交の根本的特徴であり、自力更生は我々のよき伝統である。三十数年来、われわれは発展の基本と重心を終始国内においており、主に改革開放そして自らの智慧と勤勉な労働に立脚して、内需の継続的拡大、経済成長方式の転換によって自身の発展をはかってきた。その三、発展が科学的であることを強調する点。人間本位で全面的協調の取れた、持続可能な発展という科学的発展観に則り、平和発展のプロセスによい国内環境作りを確保するように、国民経済の良好で快速な発展に力を入れつつも、和谐社会の構築を鋭意推進している。その四、発展が協力的であることを強調する点。中国は国際ファミリの一員であり、苦労を共にし利益を共有し責任をシエアリングしてはじめて、自らの利益にも他国の利益にも合致するものだ。対外的に敵視するのではなく友好に付き合う、対抗するのではなく協力しあう、腹の探り合いではなく相互信頼する、押し付けではなく対等に接することを主張する。その五、発展の共通性を強調する点。中国は自らの国家利益と人類共通の利益が一致であることを求め、決してお為ごかしやエゴイステイックなことはせず、自らが発展すると同時に世界各国と共同発展ができることを目指している。自らが発展したければ、他人の発展を容認すること、自らが安全でありたいならば、他人の安全であることを認めること、自らよい暮らしを志向するには、他人によい暮らしができるようにしなければならないということをよく心得ているからである。

三、中国の発展の行方と戦略的意図は

三十数年の改革開放、とりわけ北京五輪開催の成功や国際金融危機の試練をを経て、中国戦略のあり方はますます国際社会の注目するところとなった。ここで指摘しておきたいのは、いわゆる中国の戦略的意図たるものは必ずしも一部の人々が想像するような、複雑な測りかねる、我々には何か言い知れぬ野心か腹に一物あるようなものでは決してないことである。事実、中国の戦略的意図はずばり、平和発展の4文字に尽きる。つまり、国内に対し和谐・発展を求め、対外的には平和と協力を求めることだ。これは今後長期にわたる、私たちを含めた数世代、十数世代ひいては数十世代にいたる人々の思うことであり、やることでなければならず、百年、千年経っても揺るがぬ方針である。具体的に言えば、平和的アプローチで、自らの制度に対する不断の改革と整備や、中国人の刻苦奮闘、イノベーションとクリエーテイブを通じ、世界各国と長く友好的付き合いや平等互恵の協力によって上述の目標を実現して、人類の五分の一強を占める中国人が貧困と決別し、比較的よい暮らし向きになり、中国は人々に安心して生活と生産ができる、みな気持ちよく付き合って、政治文明、物質文明、精神文明そして人間と自然の協調がとれた発展をとげた国になり、国際社会で最も責任感のある、優れて文明的な、最も法規と秩序を守るメンバーとなることである。このプロセスにおいて、われわれは中国の実情を踏まえながら社会主義民主政治を発展させるのだ。要する、中国人が長らく貧乏を強いられたため、日を追って年を追って生活がいくらかよくなること、地球上の人々の生活もを日を追って年を追って生活がいくらかよくなることを望む以外に求むものはなく、これが最大の戦略的意図である。中国の党はこのプロセスを「平和発展」と称し、平和発展を実現する形式、方法と道筋を「平和発展の道」と呼んでいる。人々の目に触れた通り、この道は中国共産党の第十七回大会の報告に厳然と記載され、今回の全体会議でさらに、第十二次五カ年計画への建議という形で再確認されたことに、中国共産党の我々があくまで平和発展の道を歩む誠意と決意が見て取れる。

四、中国の成し遂げた発展をどう捉えるか

改革開放に移ってから三十数年この方、中国は世界の注目する経済・社会発展の成果を遂げた。特に近年の発展は国際社会の強い関心を惹くものになり、中国はもはや先進国に仲間入りし、アメリカと並び立つものと考える人も少なくない。このような議論は平和発展の道を歩んでも国の発展をもたらすことが可能で、われわれの選択は間違っていなかったことを示す一方、この人々には中国の現状や発展レベルに対する全面的・深い理解の欠如を物語っている。正直のところ、GDPがいくら大きくてもその成果を13億人で割って共有するものなのだ。現在、中国の一人当たりGDPは3800ドルしかなく、世界ランキング104位前後で、多くのアフリカの国よりも低いレベルにあるのが現状だ。一人当たり1日1ドルという国連による生活基準でみた場合、中国ではいまだ1.5億人が貧困ライン以下に止まっている。一人当たり所得1200元というボトムラインで見ても、中国にはまだ4000万人以上が貧困脱却に到らないでいる。電気のない生活を送る人口は1000万人、毎年雇用問題を解決しなければならない人口は2400万人である。中国は人口が多いうえ経済的基盤が弱く、都市と農村・地方の格差が大きく、産業構造は非合理的であり、生産力が遅れた状態はまだ抜本的な改善ができていないことから、どう見られようとも人口大国でありながら経済小国であり、偽らぬ発展途上国にほかならない。われわれが面している経済・社会問題は世界最大、しかも類例のない難題なので、何ら思い上がる元手もない。中国は真に発展し、人々はほどほどの生活が送れるようになるには、まだまだ長くつらい道のりが待っているので、数ジェネレーション、いやそれ以上の長い時間をかけて努力を怠らぬ必要がある。そのときに中国の一人あたりGDPが欧米や日本など西側諸国と大差ないものになったとしても、我々の経済や生活の質はまだずっと遅れを取ったものだろう。

特に指摘しておきたいのは、何時か中国は強くなっても、発展途上国の一員であり続け、多くの発展途上国と立場を同じくし、連携協力して共同発展を図ることに変わりはないということだ。これは互いの共通の歴史的境遇、共に戦った誼、共同発展の課題、共通の戦略的利益により決定付けられたもので、中国自身の経済発展や国際的地位の変化で変わるものでは決してない。過去、現在と将来を問わず、中国は一貫して発展途上国の最も誠実で信頼できる友であり、兄弟であり、仲間である。発展途上国との関係を発展させるなかで、なお改善や向上を要する点はあるにせよ、中国は多くの発展途上国との協力は堂々たるもので、対等の付き合い、互恵共益、誠実友好なものであり、いわゆる「新植民主義」とのレッテルはいかようにしても中国に貼るのは相応しくない。

五、発展した中国は世界で覇権を争うことはないか

それは心配ご無用である。覇権主義に反対することは中国の憲法にも中国共産党規約にも記載されている。このようなことのできる大国や政党は世界のどこを探しても他にないだろう。

歴史的に見て、中国には拡張と覇権を求める文化や伝統はない。われわれには数千年の「仁」、「和」を核とした政治・文化の伝統が伝わり、「和をもって貴しとなす」、「親仁善隣」、「万邦に協和する」を貴ぶ。数百年前に、中国が最も強大で世界GDPの30%を占めていた時代でも、拡張や覇権をやっていない。鄭和は世界最強の船隊を率いて七度西洋へ下ったが、持っていったのは血や火、略奪や殖民主義ではなく、磁器やシルク、お茶であった。唐の栄えた時代、日本が中国から得たものは威嚇ではなく、繁栄であった。前漢時代より、中国の版図はだいたい今日の姿になっている。

現実的に見て、経済グローバル化の今、一国の振興は平等で秩序ある、互恵共益の国際競争と協力によって実現可能であり、国際秩序に対する挑戦や他国に挑む旧套を繰り返すこともできずその必要もない。一部大国の興亡の経験と教訓が教えるところでは、拡張主義の道はダメ、軍備競争の道はダメ、世界に覇を唱えることは袋小路だ、平和発展こそが唯一正しい道であるということだ。中国が発展すればするほど、世界各国との協力強化が必要になり、平和で安定した国際環境が必要になってくる。互恵共益、共同発展は改革開放三十数年来、対外関係上われわれが何より深く会得したことであり、成功するための奥の手だった。これをしっかりと掴んで何があっても手放すことはないだろう。

われわれの基本政策から見た場合、頭にならず、覇を求めず唱えないことは国是であり、戦略的選択である。一国が世界を脅かすかどうかは、その実行する政策を見るのがポイントである。中国は一貫して平和五原則を堅持し、各国人民が発展の道を自主的に選択する権利を尊重し、決して覇権を唱えることはなく、世界のイニシアチブを求めることもない。

中国が世界で覇権などを唱えることがあれば、世界の人民はそれを暴き、反対し打倒すべきだ。この点、国際社会がわれわれを監督すればよいと、鄧小平氏はかつて述べたことがある。

中国が米国に取って代わり世界で覇を唱えるなどにいたっては、ただの空論にすぎない。政治的に中国の特色ある社会主義を推進しており、社会制度や発展モデルを輸出しないし、社会制度や発展の道に対する各国人民の選択を尊重している。経済的には、中国自身が発展をはかることにひたすら専念し、各国の引き続いての繁栄発展と、共に進歩することへの追求を喜ぶ。軍事的には軍備競争はやらない。13億の中国人の衣食住、交通や旅行の条件が少しでもよくなることを何より先ず念頭に入れなければならず、軍事費にお金をがばがば投下する余裕もなければ,望むところでもない。

中国自身は覇権を求めず、他国と組んでこの地域で覇権を争ったり、共同覇権とか「モンロー主義」などをやる考えは毛頭ない。中国は、「睦隣・安隣・富隣」との周辺外交政策を取っており、アジア・太平洋戦略の出発点も帰着点も自らの発展のために安定した良好な周辺環境つくりと、関係各国との互恵共益の実現にあり、ASEANやアジア諸国の永遠に変わらぬよき友、よき隣国、よき仲間たることを願うものである。中国がアジアの国々と交わした二国間や多国間協議にはいかなる排他的条項もなく、地域協力に対して我々はオープンな姿勢をとっており、意図は透明で善意に満ちたものである。関係国にもアジアでの行動は中国に対する警戒や抑止、危害を加えることを目的としないことを望んでおり、そういう国の、われわれ中国人が数千年生存し発展してきたこの地、われわれの玄関口での言動も善意に満ち、透明なものであってほしい。中国の発展をチャンスととらえ、それをうまくつかめば、そこから利益を引き出すに決まっている。逆に中国の地域的・国際的戦略の意図を疑ってかかり、あら捜しに躍起になって因縁をつけることにかまけていたら、中国と協力する好機を逃すことになる。ましてや、徒党を組んで中国を敵に回したり、中国を抑止するたくらみ、地域諸国間を挑発離間したり、中国の近海で合同軍事演習をやるやり方は典型的冷戦思考というものであり、時代遅れもいいところ、中国の発展を阻むこともできず、中国と協力関係を持つ絶好のチャンスを逃すことになり、失敗に終わること必至である。

中国では「韜光養晦、有所作為」(才覚を覆い隠して時節を待ち、なすべきことはなす)と言って、中国が平和発展の道を歩むと主張しているのは、畢竟自分がまだ強くない時に弄した陰謀だと、国際的にそう言う人が一部居る。これは謂われのない疑念である。これは鄧小平氏が1980年代末か90年代初頭に述べたもので、言わんとすることは中国が謙虚に慎み深く振舞い、頭にならず、旗を振らず、拡張をやらず、覇権を唱えないことであり、平和発展の道を歩む考えに軌を一にするものである。

要するに、中国は世界に対して善意を抱き、行動に責任をもち、他人を尊重するが、他人が侮るのを容認しない国である。自国の実情に基づき社会主義民主政治を絶えず進展させ、人権を重視、尊重、保護する国である。前進途上においてどんなに困難が転がっていても、決して考えが硬直化せず、改革開放をどこまでも堅持し、虚心坦懐に他人に学び、各国と対等に付き合い、協調共存、互恵共益、共同発展を望む国である。あくまで平和発展の道を歩み、各国に対して心を開き、真摯に触れ合い、公明磊落に振舞い、世界が安心し、付き合う上で納得し自信を持てる国である。国際社会が中国の平和発展を怖がるのではなく歓迎し、阻害するのではなく協力し、抑止するのではなく応援すべきであり、中国が平和発展を図る過程における真っ当かつ適切な利益と関心事に理解と尊重を示すべきである。

六、急成長する中国は他国との関係をどう対処するのか

同じ釜の飯を食えば、杓子が釜に触れない保障はないと、中国の俗語でいう。同じ地球村で暮らす以上、国家間にもごたごたや摩擦が起きるものであり、驚くに当たらない。大事なのは問題が起きたときに、目くじらを立てて一矢を報い、針小棒大に騒ぎ立てるか、それとも全く違う対応をするかの、対処する原則如何にかかる。国際関係の取り扱いに際して以下いくつかの基本原則を遵守し、数十年来有効であることが示されている。まず、平和五原則ですべての国との関係を律することである。内政干渉の手は使わず、武力の使用やその使用の威嚇の手も使わず、えこひいきをして徒党を組むという手も用いない。第二に、互恵とウィンウィンをめざす開放戦略を堅持する。近隣を災いを転嫁する受け皿としたり、その利益を損なうことをせず、共通利益を重視し、共通利益を発展させ、共通利益を維持し、共通利益というケーキを膨らませる。三つ目には、異を残し同につき、対話と協議の形で対立や意見の相違を解決することである。ここ数年、米、欧、日本や一部新興大国と戦略的対話と協議システムを設け、今日の世界または二国間関係にかかわる大局的長期的な重要問題について掘り下げて意見交換し、相互理解・信頼醸成に取り組み、戦略的なコンセンサスを求め、共通利益を拡大し、トラブルや波風を軽減することに努めるなど、数々の取り組みを行ってきた。すぐ解決できない問題に関しては、条件と期が熟したときまで、とりあえず棚上げし、問題によっては後世の子孫に解決を委ねてもよいと主張する。

中国政府が武力による台湾問題の解決を放棄するとは確約しておらず、中国の軍事費も徐々に増加しているのは、平和発展の道と矛盾するではないかと言う人がいる。私に言わせると、如何なる発展の道の選択であれ、国の重要な利益、分けても核心的利益が犠牲になることを代価とすることはできない。中国の核心的利益とは何か。一個人の理解だが、まずは中国という国体、政体と政治の安定、即ち共産党の指導であり、社会主義制度、中国の特色ある社会主義の道である。二つ目は中国の主権の安全、領土保全であり、国家統一である。三つ目は、中国経済・社会の持続可能な発展に対する基本的保障である。これらの利益は侵犯と破壊を許されない。

台湾問題は中国の統一と領土保全にかかり、中国の核心的利益にかかり、13億の中国人民と全てこれ中華民族の感情の機微に触れる問題である。台湾問題に関して、中国は「平和統一、一国二制度」という基本方針を掲げ、台湾の中国からの分裂を決して容認できず、武力行使の放棄を一切承諾しないが、これは台湾の同胞を対象とするものではなく、主に「台湾独立」を求める少数の分裂勢力を対象とするものである。

この数年、海峡両岸関係の平和発展は積極的かつ大きな進展を遂げ、双方の調印したECFA(両岸経済協力枠組み協定)は、両岸関係の平和発展により広々とした前途を切り開いてた。だが、冷戦思考と地縁政治の必要性から、中国側が強く反対するにもかかわらず、台湾に武器売却を続ける国もあるが、言に信の置けないやり方は両岸関係の平和発展にマイナスであり、アジア・太平洋地域の平和、協力、発展の流れに背くものであり、一刻も早くやめるべきだ。

中国は防衛のための国防政策を取っており、国防建設強化の目的は国家主権と領土保全を守り、中国の22000キロ以上におよぶ陸上境界線と18000キロの領海線を守り、中国の平和建設を守るためのものであり、軍備競争の必要性からでも、覇権争いのためでもなく、対外拡張を求めるものでもない。中国は不断に成長する経済力を軍力に転換することを憂慮する人は国際社会にいるが、まったくの杞憂だ。アメリカ、日本など少なからぬ国に比べて、中国の軍事費レベルは総量と国民一人当たりとも相当低く、外界に対して脅威などにならない。いわゆる透明性については、世界に軍事面で絶対に透明性を持つ国はどこにもない。むしろ、これまでの数十年にわたって中国の軍事透明性は断ず高まっており、特にわれわれの戦略的意図は多くの国、とりわけ主要大国よりずっと透明性が高い。たとえば、世界に永遠に覇権を唱えないと高らかに公言しており、全世界に向って核兵器の先制使用をせず、非核国に対して使用したり、使用すると威嚇することはしないと公約している。他の国も同じことをすれば、世界平和、安定、発展にとって間違いなく大きな貢献になる。

七、どんどん増大する実力と影響力を中国はどう使うか

中国の発展目標は一言で言えば、国内に調和のとれた社会を建設し、対外的に和諧世界の構築を推進することであり、中国の発展が国内の民衆と国際社会に裨益するように、まず13億の中国人に対し責任をもち、同時に世界人民と世界平和・発展に対して責任をもつことでもある。

中国が「建設に余念なく取り組み、発展を図ることに専念する」ことを取り違えて、中国は国際責任を疎んじ、国際義務の履行を好まないと国際社会で見る向きがある。その実、改革開放が始まった当初から、われわれの党は世界平和の擁護、共同発展の促進を三つの歴史的任務の一つに据えたのであり、近年さらに恒久平和、共同繁栄の和谐世界の構築を打ち出し、世界と地域実務への注目と取り組みを強化している。一つは、エネルギー、食糧、気候変動、テロリズム、自然災害、伝染病、金融危機といったグローバルな問題と、朝鮮半島の核問題、イラン核問題、アラブ・イスラエル紛争、スーダンのダルフール問題など紛争多発地域の問題の解決に前向きに参画している。二つ目は、国際システム建設への積極的関与である。中国は世界システムに対し責任ある参加者たると同時に、その受益者であり、また建設者と貢献者たるものである。現行国際システムは完全無欠なものではなく、より公正かつ合理なものになるよう、情勢の変化を的確に踏まえて見直し、変革や改善を行う必要がある。国際ルールの策定や完備に関わる事を含めて、国力相応の国際責任と義務を引き続き負うべく、今後ともさらに積極的な形でこのプロセスに関与していきたい。三つ目に、開発アジェンダを鋭意参画、推進することである。一方では中国の開発問題に集中して取り組むこと。中国の開発は世界開発の重要な一環を成し、中国は立派に開発できるほど世界が大きく裨益するものだ。近年、中国経済の世界経済成長に対する寄与度は10%超、国際貿易の成長率貢献度では12%を上回って、関連諸国・地域に対して千万単位の雇用機会を創出している。他方、中国はグローバルな開発事業の主たるプレーヤーであるだけでなく、その主な立役者でもあり、各国と共に国連ミレニアム開発アジェンダを推進し、世界の繁栄と進歩を共に推し進めたいと願っている。

八、平和発展の道と中国の特色ある社会主義とは

どんな関係にあるか

この二者は表裏一体と言える。一方、平和発展の道は中国の特色ある社会主義の本質的要請である。どのような発展の道を歩むかは、突き詰めて言えば国の性質によって決まるものだ。資本主義社会と資本のあくなき本性が西洋大国の勃興に侵略と拡張が付き物で、血生くささと暴力の横溢するものたらしめる。社会主義国家である中国は、人々の富、公正な社会、国の発展と世界平和を基本目標としている。相当長い時期において、わが国は社会主義の初期段階にあり、日増しに伸びる人々の物質文化への需要と遅れた社会生産力とのギャップはなお社会の主たる矛盾である。これは、発展することを常に党の執政、国興しの何よりの要務とし、そのために長期平和と安定した国際環境作りを求められることになり、同時に「われわれの進める社会主義は社会生産力を絶えず向上させる社会主義であり、平和を訴える社会主義である」(鄧小平談)ことを決定付けるものだ。また一方では、平和発展の道は、中国の特色ある社会主義の重要な一部を構成するものだ。中国の特色ある社会主義は経済・政治・文化・社会・生態環境などの各領域に行き渡る、さまざまな側面に体現されるもので、対外的分野ではそれを平和発展の道と呼んでいる。あるいは平和発展の道が対外的には中国の特色ある社会主義の基本的属性、基本的特性、基本的内容と基本的道筋を端的に体現したとも言う。対外的には、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げることは、平和・発展・協力の旗印を高く掲げ、終始変わることなく平和発展の道を歩むことである。これは中国共産党が世界発展の大勢を見極めたうえ、内外発展の経験・教訓から導き出した基本的結論であり、マルクス主義を中国化、同時代化した重要な成果であり、複雑で変化に富む国際環境にあるわが国が科学的発展を実現するための保証そのものだ。

九、平和発展の道を歩むことと和谐世界の構築とは

どういう関係にあるのか

平和発展の道を歩むことは、わが国が発展と振興をどう実現するかを世界に発信することであり、実質上、われわれの党による国家発展の道と戦略の選択である。和谐世界の構築を目指すことは、中国がどのような世界作り、国際秩序作りに尽力するかに対する答案であり、国際秩序に対するわれわれの党の主張と行動規範というのがその本質である。平和発展の道を歩むことは和谐世界の構築を進める土台作りと前提である。和谐世界の構築は平和発展の道を歩む必至の要請である。中国は両者をうまく統合して捉え、愛国主義者でありながら国際主義者たるを心がける。中国が平和発展の道を歩む結果、世界の五分の一以上の人々がいくらか暮らしがよくなることは、全人類に対して大きく寄与することになり、世界は中国の存在によってより調和するものになるであろう。平和発展の道を歩むと世界に強く発信し繰り返し強調するのは、平和発展にかける中国の誠意を表明するとともに、もっと多くの国に平和発展の道に加わってほしいと願ってのことである。かくなれば、恒久平和、共同繁栄の和谐世界も遠からず訪れるだろう。翻って、もしわれわれの生きるこの世がより調和するものであれば、中国の平和発展の道もいくらか平坦で順調に進めるものとなる。この意味から、平和発展の道を歩むことと和谐世界の構築とは補完関係にあり、相互作用するもので、人為的に分割するわけにはいかない。

十、中国の平和発展の道はちゃんと成り立つものか。

この道は成り立つものだ。過去三十数年間、中国は自らの実践によって、後発国の振興に略奪、侵略、覇権争いを伴うものという歴史の法則を打破し、グローバル時代において勤勉と智慧をより所に、協力と共益をバネに平和発展を遂げる全く新しい道を切り開いたことは、世界中見ての通りである。十一次五カ年計画期の5年に、中国の発展は平和発展の道が光明に満ちた道であることを見事に証明している。これまでの5年間、中国の総合的国力はどんどん強まる5年であり、中国が国際的協力に幅広く深く関わり、国際的地位と影響力が大幅にアップした5年であり、世界各国との関係を深め、対外活動が大きな成果を次々と挙げた5年でもあった。5年来、中国共産党中央委員会と国務院の正しい指導のもと、中心課題を巡って大局に目配りし、チャンスをタイミングよくつかみ、チャレンジを乗り越え、「盛会を催し」「危機を打ち負かし」「発展を促し」「イメージを作りあげ」て国家利益の新たな発展、対外活動の新たな飛躍を遂げた。

成功りに開催された中央外事活動会議では、内外環境の発展・変化を全面的に洞察したうえで、わが国と世界の関係にかつてない変化がおとずれたことを強調し、国内・国際という二大局の横断的把握、平和発展の道を歩む、互恵・共益の開放戦略の実行、恒久平和と共同繁栄の和谐世界の構築などといった一連の重要な対外戦略的思想を打ち出しており、新しい時期における対外活動が科学的発展の軌道に乗り入れて進むよう指導している。

5年この方、われわれは国内国際という二つの大局を両睨みし、全方位の対外活動を展開することによって、国の現代化建設に平和的国際環境と有利な外部環境作りに励んだ。諸大国、周辺国、発展途上国との関係を着実に推進し、各国との友好協力が全面的に発展してきた。多国間サミットの場を活用し、党や国家指導者が様々な場で国の重大な政策主張をPRし、国際金融危機対応のための協力に積極的に関わり、国際経済システムの変革を推進し、気候変動対策などグローバルな問題で独自の建設的役割を果たしている。「導入」と「進出」をリンクさせ、対外経済貿易協力に注力し、国内の危機対策、安定確保、発展促進、経済発展方式の転換に役立てている。北京五輪、新中国成立60周年、上海万博、広州アジア大会など大掛かりのイベント開催を契機に、パブリックデプロマシーと人文交流を強化し、さらに中国の文明、民主、開放、進歩、責任ある大国のイメージ作りに努め、国際的に広くて深い交友関係を開拓して国際世論を誘導し、国のソフトパワー作りが深まっていくよう努力する。国家主権と安全をゆるぎなく擁護し、いかなる分裂・破壊活動にも断固反撃し、非伝統的安全領域での国際協力を鋭意推進する。人間本位、外交は民のためにあるをモットとし、海外進出企業や個人の合法権益を守ることに尽力すると共に、対外的に大量の国際救援とPKO(平和維持活動)を行った。幅広く展開する国際協力を通じて、各国との共同利益を拡大し、互恵共益の共同発展を進めたと同時に、様々な形の戦略対話と政策協議によって、対立や意見の相違、疑念、誤解の解消に積極的に取り組んだ。

事実が立証しているように、中国は改革開放でもって経済グローバル化の流れに順応し、平和発展と国際協力を通じて世界各国と幅広く友好的パートナーシップを発展させ、各種トラブルや摩擦を善処し、国際事務において建設的役割を発揮し、国際秩序が公正かつ合理な方向へ改革するよう推進してきたことは、時代の流れに従がう平和発展の道を歩むことにつながったし、この道は進んでいくほど幅広くなり、進んでいくほど希望に満ち来るであろう。

(出典:『国民経済と社会発展第12次五カ年計画策定に関する中国共産党中央委員会の建議』学習読本)

 
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